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【私の茶道具】古い中国の皿 - 料理家 くしまけんじ
2023年08月21日
by 煎茶堂東京編集部
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
料理家のくしまけんじさんは、アメリカで見つけた器について教えてくれました。
古い中国の皿
そのお店は、Berkeleyの街の気持ちよくうつくしい街路樹が植っている通りに、ひっそりとあった。初めて" Tail of the yak "の店を訪れたときには、暑さの中歩いていったせいもあって、店に入った途端に白昼夢を見ているような感覚になった。
うつくしい、店の中の装飾の数々。とりどりの色彩の品もの。店の奥には大きな鳥小屋があって、白いきれいな鳩が2羽、ちいさな鳴き声を静かな空間に響かせていた。
店の奥の棚で、この古い中国の皿を見つけた時には、静かな興奮を覚えた。桃らしきくだものと花や蝙蝠の、なつかしい様な色合い、絵柄。優美に波打った菱形に、高台。
ひと目で気に入ったものの、日本からアメリカ西海岸までやってきて中国からアメリカに運ばれた品を持ち帰るのも、なんだか奇妙だ、と思いしばし考えた。けれど、古いもの。次はもう出会えないかもと思い直し、飛行機の中大事に抱えて帰ることにした。
日々味わう中国茶の茶席で。菓子皿に。ちいさな茶壷を預ける茶盤に、と使うたびに、Berkeleyの大すきな店の隅で見つけたときのうれしさも蘇り、アメリカから持って帰ってきてよかったなぁ、と思うのである。
料理家
くしまけんじ
西荻窪『食堂くしま』を経て、2020年5月から鎌倉へ移住。料理教室やイベントなどで活動中。Instagram:@kenjikushima |
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