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【最終回】麻生要一郎「3月は、お彼岸。」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭エッセイ

2024年03月18日

by 煎茶堂東京編集部

TOKYO TEA JORUNALの巻頭コラムを飾る、料理家・麻生要一郎さんのエッセイ。季節を感じながら、毎日のちょっとした幸せを見つけられるような麻生さんのエッセイをお楽しみください。残念ながら今回の更新分で最終回となります。

麻生さん、ありがとうございました!

3月は、お彼岸。

 ふきのとう、タラの芽、こごみにコシアブラ。買い物に出かけると、山菜がずらりと並ぶ様子にうきうきする。山菜は、迷わず天ぷらにすると決めている。鮮魚コーナーに目を移せば、鯛、鰆、蛤が、僕の好物。刺身に焼き物、お吸い物にして味わう。花屋に出かければ、色とりどり、形も様々なチューリップがずらり。まさに、春爛漫である。

 そんな、うきうきとした気持ちとは裏腹に、3月の末には母の命日がある。闘病を支えた当時の事を思い返しては、気持ちが沈む事だってある。春のお彼岸の頃になると、濃い目のお茶を淹れて、チョビと並んでぼた餅を食べるのが慣わしだ。どこか悲しい気持ちのはずが、食べ終わると美味しかったと、ついニンマリ。

 ぼた餅とは、牡丹の花が由来なのだそうだ。その事を知ってから、麗恵院との戒名を授かった、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、よく言われた美しかった母の事を思い出すようになった。きっとチョビも、ぼた餅を眺めながら同じ事を、思っているに違いない。皆さんの、春のお彼岸についての思い出をお寄せ下さい。

 この連載は、今回が最終回となります。毎月読んでくださって、大勢の方にお便りをお寄せ頂き、ありがとうございました。皆さんの日々が、春の日のように穏やかである事を願って。

麻生要一郎

1977年1月18日生まれ。茨城県水戸市出身。料理家・随筆家。家庭的な味わいのお弁当が評判となり口コミで広がる。雑誌への料理・レシピ提供、食や暮らしについての随筆。著書には『僕の献立 本日もお疲れ様でした』『僕のいたわり飯』がある。待望の3冊目『365 僕のたべもの日記』(いずれも光文社刊)も好評発売中。

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Illustration:fancomi

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